| 第34回 一過性滑膜炎 (Transient synovitis) |
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症状:急に歩かない、股関節の痛み
M君は4才の男の子で、1週間前に手足口病にかかった後、昨日急に歩かなくなりました。小児科を受診し、レントゲンと血液検査を受けましたが、両方とも正常で、小児科医は、一過性滑膜炎と診断しました。しばらく痛み止めを飲んでいましたが、1-2日以内に足を引いて歩くようになり、1週間ぐらいすると、K君は普通に歩けるようになりました。 一過性滑膜炎は、中毒性滑膜炎とも呼ばれ、2-10才の小児に多い股関節の病気です。男児の方が女児よりも3-4倍多く見られます。通常は、ウィルス感染にかかった後に子供が歩かなくなったり、足を引いて歩くようになると一過性滑膜炎を疑います。股関節痛以外の症状としては、鼠径部、大腿や膝の痛み、低目の発熱です。全身状態はよく、比較的元気そうにしています。診察では、股関節を動かすと痛みを訴えます。普通は、片側の股関節だけですが、5%くらいの確率で両方の股関節に起こります。 一過性滑膜炎の原因やメカニズムについてはあまり理解されていませんが、ウィルス感染後の炎症反応による一種の関節炎ではないかと疑われています。診断は、診察と問診で行われますが、熱が高い時や、関節の腫れが著しい時、全身状態が悪い時は、細菌性関節炎の可能性も考える必要があります。細菌性関節炎の場合は、緊急性があるので、速やかに病院に行く必要があります。 血液検査やレントゲン検査は通常正常ですが、血沈などの炎症反応、白血球が軽度上昇することがあります。関節液の検査は、細菌性関節炎など他の関節炎を疑うと行います。超音波検査で、関節液の増加が認められることがあります。 一過性滑膜炎と間違いやすい病気に、大腿骨頭の血管性の壊死によって起こるペルテス病がありますが、ペルテス病は、病状が徐々に進行していく病状期間のやや長い病気で、発症後数ヶ月すると、レントゲンで異常が出てくるのが普通です。一過性滑膜炎の場合は、比較的早い発症と短期間の病気で、レントゲンも正常なので、区別できます。 特別な治療法はありませんが、痛みがある時は、安静にし、イブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症薬を使います。1週間以内にほとんどの小児が完治します。 記事中の患者さんは架空の患者さんです。 サンディエゴの日系紙「Lighthouse San Diego」に2005年9月16日号に掲載。
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